“待ったなし”の防衛力強化
わが国を巡る極めて厳しい安全保障環境を踏まえ、今こそ防衛力の抜本的強化が必要だ、ということはかねてよりこの場を借りても訴えてまいりました。
特にわが国周辺での軍事活動を活発化させている中国の戦力増強は著しく、その領域は宇宙、サイバー、電磁波といった新分野に広がり、いわゆるハイブリッド戦争へと変容しています。以下、米中戦力の時系列的比較資料をご覧頂ければ一目瞭然です。(防衛省作成資料)
米中新冷戦時代に突入している中で、今同盟国であるわが国に明らかに求められているのは、「responsibility sharing(責任分担)」であり、自らの国を守る、という強い姿勢を示すことが必要です。我々は、防衛力あっての国家であることを忘れてはなりません。
先般、岸田総理に報告書を提出された「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」も、厳しい安全保障環境に置かれたわが国が、「何ができるかだけではなく、何をなすべきかという発想」で、早期の防衛力の抜本的強化を謳い、そのために「必要な水準の予算上の措置をこの5年間で講じる」よう主張されました。
米中のはざまにあるのみでなく、北朝鮮の度重なるミサイル発射、未だ暴挙を続けるロシアという3方面からの「今そこにある危機」がわが国を巡る情勢です。
「国家安全保障戦略」、「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画(中期防)」の防衛三文書の年内改定においては、わが国の防衛力のあるべき姿を示し、それを実行に移せるものでなくてはなりません。また国際情勢に応じた柔軟な見直しも必然となるでしょう。
岸田総理からは、防衛費の増額とそのための安定財源確保の措置を年末までに決定するという明確な指示が出ました。
安全保障政策の大転換を図る防衛力の抜本的強化は「待ったなし」の状況であり、財源についても、その負担を次世代に先送りできるものではなく、持続可能な安定財源が不可欠です。
さらには、防衛力強化のために、経済との両立も重要です。技術研究開発におけるデュアルユースの議論は当然、進めるべき課題だと思っています。
本日土曜日も、東京にて税調の会議を行いました。
防衛力の強化とそのコストを、政治家である我々そして国民が受け止める覚悟が今こそ問われています。
「政治決着」すべき課題として、困難な作業を伴いますが、税調等の場で今後も様々な角度から議論を進めてまいります。