私に関する処分の決定について
昨夜、党本部より今回の清和研を巡る問題につき、「離党勧告」との処分の通知がきました。改めて、今回の問題を巡り国民の皆様に多大なるご迷惑とご心配をお掛けし、政治に対する国民の信頼を損ねたことに心よりお詫び申し上げます。
むろん、私自身の政治的・道義的責任においては甘んじて受け入れます。
しかしながら、有権者からの負託を受けた議員の政治生命に関わる重大な事案であるにもかかわらず、説明が一切なされないまま、基準も不明確なまま処分が下されました。
したがって、党規律規約に基づき、私への処分を不服として再審査の請求について検討していきたい、とのことで先程、記者会見をさせて頂きました。
これまで長年支えて頂いた地元の支援者の皆様とも相談しながら、私なりに今できることを熟慮した上で、様々な判断をしてまいりたいと思います。
昨日、党に提出した弁明書を下記の通り、添付させて頂きます。長くなりますがご一読頂けますと幸いです。
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自由民主党 党紀委員長 逢沢一郎殿
弁明書
令和6年4月4日 衆議院議員 塩谷 立
清和政策研究会を巡る問題につき、国民の皆様、党員・党所属議員の皆様に多大なるご迷惑とご心配をお掛けし、民主政治の要諦である国民の信頼を損ねたことは慚愧に堪えず、心よりお詫び申し上げます。党紀委員会の処分審査に先立ち、弁明の機会を頂けましたことに感謝申し上げ、以下の通り私の弁明を述べさせて頂きます。
1. 事実関係の認識・認定
事件発覚後、検察の捜査、記者会見、党の聴取、衆議院政治倫理審査会等を通じて、私が認識する限りの事実を正直に申し上げてきました。この言葉に嘘偽りはありません。しかしながら野党やマスコミから「虚偽だ。隠している。説明責任を果たしていない」等と正鵠を失する発言がなされています。党には、このような声に惑わされることなく、事実を事実として正確に認定して頂くことが処分の前提だと思います。事実認定につき党がどのようなプロセスを経てどのような結論を出されたのか、当事者には何の説明もないままに、報道によれば私には「離党勧告」という厳罰、さらには清和研の多くの同志達にも重い処分が示されようとしています。処分における公平かつ透明性のある基準・理由は不可欠であり、地元支援者に説明責任を果たすためにも明確な開示を求めます。
2. 自らの関与について
還付は、派閥のパーティーを利用して所属議員が政治資金を調達する手段として認識していましたが、私自身、不記載については全く関知せず、昨年の事件発覚の際初めて知りました。従って、還付や不記載を画策したり、主導したりしたことはありません。
令和4年4月に安倍晋三会長より現金による還付は透明性に問題があるとして還付を中止する、との指示がありました。これに対して、パーティー券売上を自らの政治活動費として予定していた議員より還付を希望する声が多く上がり、安倍会長も参議院選後に改めて検討する考えだったと思います。しかし7月に安倍会長が突然逝去され、派内は大変なショックで混乱し、会長はじめ幹部役員体制も整わないまま今後の様々な問題を協議する中で、還付を希望する声に対応して従来通りの還付はやむを得ないとの流れになりました。決して安倍会長の意思をないがしろにしたものではなく、窮余の対応でした。収支報告書への不記載については、4月、8月の打合せ時に全く説明がなく、派として事務的に適切な運用がされているものとばかり思っていました。還付自体は政治団体間の寄附として適法であるとの認識であったことから、私自身、違法あるいは不当な処理をしているとの認識はおよそ有していませんでした。不記載に気付けなかったこと、気付けなかったゆえに不記載を止められなかったことへの批判は甘んじて受け入れます。しかし、不記載に気付きながら放置してきたわけでは決してありません。
報道によれば、私への処分は清和研のトップだったことも加味されるということですが、私が座長を務めたのは令和5年8月から本年2月1日までの5カ月余りです。令和4年の打合せ時には、私は下村博文先生と共に会長代理に就いていましたが、そもそも、会長代理は、会則に規定された役職ではなく、清和研の運営に関する決定権限がありません。当時の清和研は、会長不在で決定権限を有する者がいなかったことから、複数の幹部で協議して運営を決めていました。ですから、還付への対応の議論に加わった者の責任の有無は措くとしても、議論に加わった他の方と比較して私の責任の方が重いということはありません。
3. 私自身の政治団体への還付・不記載について
私は、個人パーティーも開催しており、毎年ノルマ達成が精一杯でしたが、コロナ禍でノルマが半減された結果、2018年からの5年間で計234万円の還付を受けました。使途については全額政治活動費として適正に処理されており、領収書を添付した上で収支報告書を訂正しました。
4. 派閥ぐるみの裏金づくりという誤解
還付分につき長年不記載の既成事実を重ね、是正できなかったことは猛省しております。しかしながら清和研の運用は、あくまで会員個人の政治活動を支援する趣旨であり、派閥ぐるみで裏金づくりに勤しんだり、パーティー券売上を派閥にプールして説明できない支出に使っていた等ということは一切ありません。清和研が組織的に不適切な政治資金を調達していたかのような事実は一切ありません。
5. 党としての政治的・道義的責任について
この度の件において、最も大事な国民の政治への信頼を損ねたことを深く反省し、私自身も政治的・道義的責任を負うと同時に、国民の政治への信頼回復に真摯に取り組んでまいる決意です。
しかしながら、有権者の負託を受けた議員の政治生命に拘わる重大な事案であるにも拘わらず、明確で公正な基準による判断がなされているかについては、現段階では否定せざるを得ません。
平成2年の初当選以来30余年に亘り地元有権者に支えられ、自民党所属の衆議院議員として、党の理念に共鳴し、誇りと責任を持って党に貢献し、真面目に政治活動に取り組んできた自負があります。それにも拘わらず、まるでスケープゴートのように清和研の一部のみが、確たる基準や責任追及の対象となる行為も明確に示されず、不当に重すぎる処分を受けるのは納得がいかず、到底受け入れることはできません。自由民主党規律規約に規定されている政治倫理審査会における弁明の機会も与えられないまま、総裁も含む党の少数幹部により不透明かつ不公平なプロセスによって処分を実質的に決定することは、党紀委員会を形骸化するものであって、自由と民主主義に基づく国民政党を標榜するわが党そのものの否定であり、このような独裁的・専制的な党運営には断固として抗議するものであります。プロセスの明確化を図る上でも、政治倫理審査会を公開で開催し、その調査を踏まえた上での党紀委員会での公正な審査を申し出る次第です。
政治資金を巡る問題が噴出する中、国民の政治不信はわが党全体に向けられており、自民党のあり方が問われています。派閥の解消を唱えるだけでは問題の本質を見誤っており、党としての責任、さらには清和研と同様、関係者が起訴された総裁派閥を率いてきた岸田総裁の道義的・政治的責任も問われるべきであります。
その点を明確にした上で、マスコミや野党におもねることなく、政治とカネを巡る抜本的な課題解決に取り組み、自民党政治のあり方等、本質的な問題に党全体で向き合わなければ、わが党の再生、日本の政治の再生は困難だと言わざるを得ません。総裁はじめ執行部には自由民主党幹部として国民が納得できる判断を示されることを求めるものであります。